AXコンピュータ

公開:2014-11-29 11:16
更新:2020-02-15 04:37
カテゴリ:ハードウェア

PC9801寡占の時代

私が趣味ではなく仕事上でかかわりがあったPCの一つとしてAXコンピュータというものがある。

1980年後半から1990年前半はNECがPC9801でシェア独占の状態であった。一太郎・ロータス1-2-3・ATOKとか使えないと仕事ができない時代であったころだ。

http://livedoor.blogimg.jp/itnew/imgs/5/7/5728239b.jpg

(カタログ画像有)1982年「PC-9801」 誕生 あの頃が一番楽しかった気がするな… : ITNEWSより写真引用

私はSEとしてMacで設計書を書くというちょっと世間では一般的でないことをしていた。会社にはPC98はなくMacがあるのみという特異な環境であったからだ。Macとレーザーライターという組み合わせで印刷品質の仕様書が出力できる。手書きやドットプリンタで出力する仕様書などとは雲泥の差であった。出力もページ単位で行われるし当時でも非常に高速に感じたものだ。現在のようにデータで受け渡しを行えるような通信インフラはなかったし、基本紙ベースでのやり取りであったからMacでも全然問題なかったというのもある。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/08/Apple_Laserwriter_II.jpg

これはNTXの写真だが会社にはこれの日本語対応バージョンであるNTX-Jというのが置いてあった。フォント用のハードディスクが外付けでついていたように記憶している。MacはExcelでもMacDrawでも当時からフォント指定ができて、異なる書体・サイズで表示・印刷することができた。このこと自体日本のPCでは「ありえない」ことであった。

ああ、そうだった。AXの話だった。。

またMacの昔話をしてしまった。。話は戻るが私は仕事でAXパソコンを取り扱っていた。このAXパソコンというのは、NEC PC9801の牙城を崩すべくマイクロソフト・PCベンダがAX協議会を作り策定したAX規格に準拠したパソコンであった。内容はIBM PC互換機に日本語表示用ハード(JEGA)を付け加えたものである。

当時PC9801は漢字はROMで持っており、また表示はビットマップで行うのではなく漢字テキストVRAMという専用のハードを持っていて、2バイトの漢字コードを指定すればハードウェアが漢字表示をしてくれたのだ。当時は漢字を表示するのもPCにとっては荷が重い仕事だったのだ。

このしくみをIBM PC互換機に持ってきたのがAX規格のPCである。

これはシャープのAX386である。うん?このデザインってひょっとしてあのマンハッタンシェイプの流れを汲んでいる??

それはさておきこのJEGAというのはISAカードであり、本体そのものは純粋なIBM PC互換機であった。

http://www.atmarkit.co.jp/icd/root/images/39559133l.jpg

Insider's Computer Dictionary [JEGA] − @ITより引用

残念ながらこの規格、本家本元のIBMが賛同しなかったこともあり普及せず、その後出てきたVGAグラフィックス上でソフトウェアで漢字表示するDOS/Vが登場したことで息の根を止められた。価格もバカ高かったしね。。

非常に高性能だし、漢字表示もできてIBM PC/ATのゲームも楽しめるという素晴らしいハードウェアだったのだ。VGAカードを指すことによりDOS/Vも動作したように思う。私がWindows2.0/3.0の実働機を見たのはAXパソコンが最初であった。AXパソコンに慣れるためにWindows 2.0 + LBPでExcelを頑張って使ってみたりした。使い勝手は悪かったがMacよりも倍以上のスピード(体感)で動作したのでこれはこれで重宝していた。ただWindows 2.0はMacを使っていただけに「なんだこれは。。クソだ。。」と言いたくなる出来の悪さであったが。。Windows3.0になってましになったがデスクトップでファイルを扱えずいちいちファイルマネージャーを使わないといけないとか、変な仕様だったんだよね。Windows 3.1以前はね。。