Apple Lisaはもっと評価されていい

公開:2015-12-20 15:42
更新:2020-02-15 04:37
カテゴリ:ハードウェア,コンピュータの歴史

LisaはApple内での政争の具になってしまって、本来のポテンシャルを発揮せずに終わってしまった不運なPCだ。なので評価がMacに比べてとても低いけれど、このPCがなかったらMacの繁栄もなかっただろうと思う。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b6/Apple_Lisa.jpg

PCにおけるGUIはLisa(AltoはPCでないので除くことにする)で始まった。デスクトップをメタファとしたコンセプトはすでにAltoで提示されていたけれども、それを洗練させPCで実現させようとしたAppleの目の付け所はとてもよかったし、その結実がLisaである。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/5/52/Apple_Lisa_Office_System_3.1.png

Mac OS(System 1.0)はその影響を色濃く受けている。ただジョブズがデザインに関して相当にこだわった(ジョブズが参加しているものでこだわりがないプロダクトはたぶん一つもないと思うが)ため、デザインはより洗練されているが。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/5/50/Apple_Macintosh_Desktop.png

またMacのソフトウェアは初期にはLisaの開発環境でクロス開発されていたらしい。Macは社内ではLisaとライバル関係にありながらもLisaのご厄介になっていたというね。

CPUの性能が低く、QuickDraw(ビル・アトキンソン作)というレンダリングエンジンがLisaになかったせいで、Macに比べて処理が遅く、Lisaは「高くて遅いPC」というレッテルを張られることになってしまった。その後Macintosh XLという名前に変わりMacの高級機という位置づけとなったけれども、レッテルは払しょくされることなくその一生を終えてしまう。

ジョブズがLisaに対抗心を燃やさなければMacは生まれなかったし、Lisaとの開発競争によってMacの品質を高めたのも事実だ。そういう意味でLisaの存在価値はあったともいえるが、ただジョブズがそのままLisaの開発の指揮を執っていたらLisaはもっと安価に高速になっていたと思うし、IBM PCより早くリリースできたかもしれない。そうなると16bit PCの世界でもAppleがシェアNo.1となったかもしれないなぁ。