僕は日本軍に関する本を読み漁っている。別にミリタリーマニアでもないのだけれど、やはり日本の近代史において一番重要な大東亜戦争における歴史的事実をできるだけ正確に把握しておきたいからである。
なぜならば、戦争経験者はもうその寿命を向かえつつあるし、だれかがその事実を継承していかなければ、そのとき得られた貴重な経験、教訓が忘却され、また同じことが繰り返されるからだ。
日本軍は戦略策定において欠陥があったのは事実で、そのために多くの犠牲を払って敗戦したというのがひとつの見方なのだけれど、もう1つはあれだけの国力で、戦術によって列強を少なからず苦しめたという側面もある。
軍政面においては、9割は植民地支配で植民地配下の現地民から搾取の限りを尽くしたという部分と、1割の現地民尊重の民主主義的支配形態(まさに八紘一宇のスローガンどおり)の両側面を持っていた。
水木しげるさんは、貴重な戦争体験者でもあり、日本の配色が濃くなりつつあった時期に召集され、ラバウルの近くのニューブリテン島で負傷し、ラバウルで終戦を迎えた。
そのため、水木さんはいくつかの兵隊目線での戦記漫画を書いている。
そこで書かれている水木さんはどちらかというと「変わり者」で上官からビンタされまくりな劣等兵である。漫画では兵隊の日常が克明に描かれている。本を読むと水木さん自体はまともな人間だと思うのだが、敗戦までの時代が狂っているので、「変わり者」扱いされていたことがわかる。
僕が一番最初に読んだのは「総員玉砕せよ!」である。
「コミック昭和史」は昭和という時代を水木さんの人生と照らし合わせながら描いている。もちろん戦記部分も充実している。