はじめに
35年を経過したこのカバー曲つくり。ここに至るまでの変遷と現状についてここで一つまとめておこうと思った。
の続き。 1つ前のエントリはこちら。
きっかけの続き
1983年:MZ-700購入
最初に手にしたパソコンはMZ-700だった。おそらく1982年の終わりころだったと思うんだよなあ。。
PC6001にするかどうか悩んだんだけど、PC6001はメモリの少なさが気になって買わなかった。ゲームと音楽演奏をするなら迷わずPC6001なんだけど、なぜかそうしなかった。ひょっとしたら買った後で単音しか発生しないことに気づいたかもしれない。
シャープに肩入れしてたのかもしれんが。
MZ-700もいじる人がいじれば相当すごいことができたんだけど、凡人の私は8253を直接いじってピッチを連続して変えてシンセ・ドラムのような音を出すぐらいが精いっぱい。これではYMOのカバーなど程遠いなあと思った。。
そういう状況のなか、パソコン雑誌か何かでアムデックという会社からCMU-800という外部に接続するシンセサイザー・ユニットが販売されているのを知った。この製品、なかなかの代物である。。
これを使えばMZ-700でも自動演奏ができたかもしれないんだけど、価格が高くてちょっと手が出なかった。この記事を読むとサポート機種にMZ-700は入ってなさそうだから、それを見て当時絶望したかもしれない(笑)。
私の場合、ゲームで遊びたい、ゲームつくりをしたいという欲望のほうがむしろ強かったので、自動演奏はあきらめてゲームにのめりこんでた時期でもある。
1984年:X1C購入
そしてMZ-700を買って1年半後くらいに、X1Cというパソコンを買った。1984年ころか。 このパソコンは待望のPSG(AY-3-8910)が載っていた。
というか載っているPCでシャープ製のものとなるとこれ一択になるが。やっぱりシャープが好きだったんだなあ。私。
下の動画はX1Cのデモ。
いやーPSGの音が懐かしい。X1Cはタイマ割込みを使った音楽演奏ができないので、テンポが揺れるのがご愛敬といったところか。友達のFM-7だとテンポの揺れがあまりなかったんだな。これが。FM-7のデモを見るとわかるけど、テンポの揺れがほとんどないんだよね。
このことがカバー曲つくりに影響するんだけどね。。
このパソコンを得たことによって、長い長いRYDEENのカバー曲つくりが始まることになるのであった。
X1Cでのカバー曲つくり
PSGのチープさ
X1Cを購入したことで当時のうたい文句でいうところの「3重和音の音楽演奏」ができるようになった。とはいえ持っている波形は矩形波とノイズ、矩形波もデューティー比は固定という代物であった。音量と再生ピッチだけはプログラムでコントロールできた。今にしてみると貧しい仕様ではあるが当時はなかなかの代物だったのだ。このチップをBASICのSOUND・PLAY命令でコントロールし音楽を演奏するのであった。
SOUND命令はPSGのレジスタをいじる命令で、これを使うと効果音的な音?を出すことができた。そしてPLAY命令はMMLという言語で譜面をデータ化し、文字列として与えると演奏する。とはいえ先ほど書いたように、波形も矩形波・ノイズしかなく、いじれるのは音量と周波数だけなので、設定するといってもいじれるところは少ない。
がこのチップも突き詰めればPCM再生(PWM再生?)も可能なのだが。。
上のはPSG+Z80CTC(タイマ)を使ってPWM再生したもの。X1CはCTC積んでないからPWM再生は難しいのかもしれんが。。
1984年ころになると楽器屋に足を運ぶようになりシンセサイザーの実物を目にしたり、音を出したりしていた。キーボード・マガジンとかサウンド・アンド・レコーディング・マガジンとか読んでて、シンセやレコーディング機材に関しての知識が肥えてきたころである。知識だけだけど。シンセ・エフェクター・ミキサー・MTRの存在を知った。並行してラジオの製作とかそんなのも読んでた記憶があるなあ。エフェクタの自作記事が載っていたからね。なんかボコーダーを自作するなんて言う記事もあったなあ。なんか別冊ものかなんかだったと思うんだけどね。
本物のシンセの音はすばらしく、PSGの矩形波はあまりにチープだった。が、PSGが進化して早晩こういう音がパソコンでも奏でることができるようになるだろうという予感はあった。まあそれは的中したけど、当時パソコンとシンセサイザーに興味がある人はみんなそう思ってただろうね。ソフトウェアだけでシンセサイザーが作れるようになるとまでは思ってなかったけど。。
コモドール64
何かのパソコン雑誌でコモドール64の存在を知った。このパソコンに積んでいる音源チップ、「SID」がすごいとのこと。波形が選べてフィルタも使え、EGも内蔵しているという。
以下の動画はSIDの音を波形表示しながら再生してるもの。
ちょっとこれがSIDの特徴的なデモといえるかは微妙かもしれんが。 イントロの音なんかはPSGでは難しいですわな。。もう一個くらい紹介しておこうか。
ちょっとチープさは漂うけど、いい音が出てると思う。いろいろな波形が出てるのがわかると思う。当時はこの音を聴くことはできずただただ想像するだけだったけどね。。
この後FM音源チップが出てきて、さらにPCの音作りの幅は広がるんだけど、私としてはこのSIDが他のPCに波及してほしかったなあとも思う。ちょっと前にSIDを調べたりしたんだけど、アナログシンセほぼまんまだったんだよね。わかりやすい。FM音源はちょっと難解というか、理屈は簡単なんだけどパラメータから出てくる音が想像しにくいという欠点があったからね。これも慣れの問題かもしれんけど。
Commodore 64 の音源チップMOS SID 6581を調べた
YMO散開
ちょっと話は前後するけど1983年にYMOが散開した。この1年くらい前にようやく「ソリッド・ステイト・サバイバー」を買って、ほぼ毎日聴いてた。遅ればせながら。友達はすでに「増殖」・「テクノデリック」・「BGM」を持ってて、家で聴かせてもらったりテープでダビングさせてもらったりしてたなあ。。ハマースミスオデオンのライブテープをもらったのもこのころだっけ。どんどんYMOにハマッていく最中に散開したのでちょっとショックだったね。
まだ音楽メディアはレコード&カセットテープ全盛のころだった。レコードを買ってきて、テープに録音しそれを聴くというスタイル。レコードはプレーヤーで再生するとだんだんすり減ってくるので、CDのように気軽に再生する代物ではなかったのだ。
By Tom Meyer - https://www.flickr.com/photos/tekisui/143745593/, CC 表示 2.0, Link
PSGでのカバー曲つくりを始める
話は戻る。 X1Cを買って2-3か月後くらいにYMOの譜面を買って、MMLを書き始めた。この譜面は今でも持っている。 3音しか同時に再生できないのでいろいろ工夫して録音した。
- パーカッションとシーケンス・ベースをPlay命令で書いて再生し録音
- 1.を再生しながら、自作のドラムアプリでバスドラとスネアを多重録音
- 2.を再生しながら、自作のキーボードアプリでコード・パートを弾いて多重録音
- 3.を再生しながら、自作のキーボードアプリでメイン・メロディを弾いて多重録音
多重録音はダブルカセットのラジカセを使った。すでにカセットテープを使った4chMTRは市販されてたんだけど、高くて手が出なかった。のちには購入するんだけどね。ラジカセには簡易的なミキサーもついてたのでそれを使って多重録音できたのだ。2.,3.,4.の手引き部分は自分の演奏能力では無理があるところはPlay命令を書いておいて、ファンクションキーで鳴らすようにしてた(笑)。
音色についてもできることは少ないものの、ソフトウェアでディレイ・ユニゾン・デチューン・ショートディレイを使ったフランジングとかできる限りの工夫はしてたと思う。PCM再生はやってなかったけど。。 フェイザーのキットをかって作りつなげてみたりした。ディレイやリバーブも欲しかったけど当時は手が出なかった。。
東風とかビハインド・ザ・マスクも作ったね。 当時作ったテープはもう残ってはいない。友達に聴かせたりしたけど、専ら自分で聴いてそれなり満足してた記憶があるな(笑)。
この後FM音源を手にして、さらに社会人になってシンセ・MTR・エフェクタ・ミキサもそろえていくんだけど、その話は次回ということで。。