LA音源

公開:2011-02-18 19:41
更新:2020-02-15 04:36
カテゴリ:音楽・動画

デジタル・シンセの過渡期の産物で有名なものとしてLA音源がある。

たいていの楽器音はアタック部分の周波数成分の変化に特徴がありかつシミュレートするのが困難なのでその部分だけ波形データ(PCMデータ)として持ち、基本波形(サイン波・ノコギリ波・三角波・矩形波)とブレンドして音を作るという物である。この音源はデジタル・フィルタ(TVF)を搭載し基本波形に対しフィルタ処理をかけることができた。TVFは利用者から見ればVCFと同じなので、アナログ・シンセの音作りに慣れた人ならば直感的に操作できる。

TVFが基本波形のみなのはおそらく、アタック部分のPCMデータが小さいのでフィルタ処理すること自体にあまり意味がないのと処理速度を稼ぐためであったのだろう。
アタック時の複雑な周波数変化は最低限のPCMデータでシミュレートしサステイン-リリースを基本波形のフィルタ変化でカバーすることで、「使用メモリ量を少なくしかつ音色はそこそこリアルなものを作れる」というのを狙ったのである。

その過渡的な仕様が特徴的な音色を作り出した。また当時普及していたFM音源と比較して音作りは容易であった。そのためLA音源を搭載したRolandのDシリーズはヒット作となった。