清らかな水を求めて

公開:2012-07-26 09:19
更新:2020-02-15 04:37
カテゴリ:日記,柿田川,富士山

私はきれいな水が流れている川が大好きである。幼少のころ大阪の山奥の川に連れて行ってもらってから、渓谷で泳いだりじーっと川面を見つめるのがとても好きになった。これは初老に差し掛かっている今でもそうである。そういうのをみていると心が洗われるような気がしてとても気分が落ち着くのだ。 残念ながら近くにはそういう清らかな流れというのはなく、水が濃緑に淀んだ藍藻の臭いが鼻につく川しかない。これはこれで好きなのだが心が洗われるような感覚を得られることはない。どこかに行かなくてはそのような流れを観ることはできない。

そういうわけで2-3年に1度はきれいな川を求めて旅行する。できるだけ近場できれいなところに。いつも養老渓谷に行くのだけれどちょっと物足りない気分でいた。養老渓谷はきれいなのだけれど、水温が高くて若干水が緑がかっているところが物足りないのだ。でもそのおかげで渓谷ではあまり見られない魚やエビ、ドジョウがいてそれはそれで楽しいのだが。

今回は泊りがけで柿田川湧水群を観に行くことにした。ここは町中にあるおよそ1km位の川なのであるが、富士山あたりの地下水が一気に湧き出しているところなので恐ろしくきれいで大きな川なのである。平野部に湧き出しているので険しい渓谷などはなく、いきなり中流~下流となって狩野川と合流している。一度大阪に帰省したときに寄り道したのだがその時は柿田川公園の第一展望台からちらっと覗いた程度で、今回は本格的にじっくり観ることにした。

しかし柿田川自体は自然保護団体に管理されており川自体に触れることのできる箇所はほとんどない。昔はそこかしこから川に入ることができたそうだが、自然保護の観点で触れられる部分は非常に限られている。これだけ厳しく管理しないとこのレベルの自然環境は維持できないのだ。3、40年ほど前まではこの川でさえ汚染が深刻で、途方もない努力によってこの環境が復元され、現在もその努力が続けられているのだ。安易にこの環境に足を踏み入れてはいけない。

そういうわけで観光情報だけで行くと柿田川公園の展望台からの景色を観て終わってしまうのだが、実際にくまなく川のまわりの道を歩いていると2か所ほど川面に触れられる場所がある。1つは私有地にある喫茶店で、川の近くに寄ってみると水はとてつもなく澄んでおり、そのまま飲めるのではないかと思うほどだ。離れたところを見ても水中の水草がよく見える。

ここでは実際に川に足をつけることができる。その水は冷たくて1分もつけておくことはできない。さらにここでは湧水を汲みあげていてその水を持ち帰ることができる。水面を見ているときれいな水でないと育たない水草が繁茂している。

さらに動画があったので貼っておこう。

もう一つは狩野川と合流地点にほど近いところだ。橋のたもとに階段があり河原に降りることができる。堰のようなものがあり流れが注ぎ込む部分の青と白の対比が美しい。

普通の渓流とかだと青緑っぽい色になる。おそらく植物プランクトンの類が水にそういう色をつけるのだろうけど、湧水が一気に噴出しているところだからそんなものが育つ余裕もないので不純物があまりなくこのような美しい水の青になるのだろうね。

残念なのは空き缶やごみが川底に結構あったことだ。この橋の道は一般道なので、柿田川とは知らずポイ捨てなんかしてしまっているんだろう。柿田川に限らずポイ捨てはしちゃいけないけどね。定期的に清掃しているからまだこの程度で済んでいるんだろうけれど。きれいな水で川底が丸見えなので余計に目立ってしまう。

ここに座ってじーっと小一時間ほど川面を観ていた。私の社会生活における垢のようなものが川の流れですべて洗い流されるような気がした。